→【その1】【その2

 まず、
 記事『解雇制限訴訟を終えて、その後』その1→その2 を読み終えた方には、この記事をお読みいただく前に、
 記事『滞在許可申請が却下されたら、即刻、強制送還になるのか?』その1&その2をお読みいただいたほうが理解しやすいだろう。



 さて、いよいよ、当ブログにおけるJosef Biffarの数々の暴挙告発も最終局面を迎えた。


 それでは先ず、そもそもJosef Biffar社長が一方的に私の自宅ドアに張り付けた文書の内容が何であったのか、原文の解説をしたい。

 参考資料:不当解雇通知原本

不当解雇通知
(以下、本文の書き起こし)
aufgrund Ihres aktuellen Visums sind wir gezwungen, unser Arbeitsverhältnis mit Ihnen zum 16.10.2018 zu beenden.

Für den Fall, dass Sie doch noch eine weitere Fiktionsbescheinigung erhalten haben, bitten wir Sie diese vorzulegen, damit wir das Arbeitsverhältnis rechtmäßig fortführen können.

Ich weise Sie hiermit an, dass Sie vorerst nur noch 2 Stunden am 13.10.2018 arbeiten können. Weitere Arbeitestage werden nur nach meiner persönlichen Anweisung festgelegt, so lange bis wir Ihre eventulle Fiktionsbescheinigung geprüft haben.

(以下、記事中のドイツ語邦訳はすべて当ブログ管理者による)
あなた(=当ブログ管理者)の現行のビザが終了するため、当社とあなたとの雇用関係は2018年10月16日を以って終了せざるを得ない。

新たな仮滞在許可証が発行された場合は、合法的な雇用関係の継続のためご提出願いたい。

現状において、以後、あなたは2018年10月13日に2時間の労働のみが認められていることをここに通告する。これ以降の勤務日程については、あなたの新たな仮滞在許可証を当社が確認した上で、私(=社長)個人の指示により決定する。

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 以上のJosef Biffar社長による主張に対して弁護士が取った対処が、以下、裁判所への不当解雇撤回請求である。

 参考資料:弁護士が作成した、裁判所への不当解雇撤回請求(p.1~4)
不当解雇撤回請求1不当解雇撤回請求2不当解雇撤回請求3不当解雇撤回請求4

 p.1:題目「不当解雇撤回請求」、原告および被告の氏名、現住所、訴訟物価額:780€

 p.2:「2018年10月12日付で被告によって提示された同年10月16日の解雇予告には正当性がなく、10月16日以降も雇用関係は継続しなければならないことをここに主張する。」

 (重要な部分を抜き出した邦文要約は以下の通り。原本中、特に重要な部分を赤線で強調した)

被告による解雇告知は法定告知期間を遵守しておらず、且つ、法定で認められた解雇事由が提示されていない
・被告が主張している解雇事由とは、“aufgrund Ihres aktuellen Visums sind wir gezwungen, unser Arbeitsverhältnis zu beenden.”(あなたの現行のビザが終了するために、雇用関係を終了せざるを得ない。)であるが、ビザに問題は発生していない以上、実に不可解な主張である。
 
 p.3:(引き続き、重要な部分を抜き出して以下に邦訳する。)

・原告は現在妊娠中であり、母性保護法も適用され、これも遵守されなければならない。(補足:妊婦の解雇が唯一認められ得る、倒産に該当しない)
・原告は育児休暇の取得権利を有し、また育児休暇の終了後は産休期間以前のポジションが確保される。
原告は、遡及的に給与の支払いを請求する権利を保持している。
雇用契約には有給休暇規定が定められていないが、原告は連邦休暇法に従って有給休暇取得の権利を保持している

 p.4:原告の月額平均給与は260€であることから、
    訴訟物価額:月額給与260€ × 3 = 780€

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 これを以って、2018年12月上旬に不当解雇が撤回され、弁護士によって不当解雇告知日に遡った未払い賃金の請求が為された。
 この請求にあたっての当方の主張は、【その2】で述べた通りである。


 これに対し、同年12月11日に社長から弁護士宛てに以下のような回答があった。

 参考資料:2018年12月11日付の回答
賃金は全て支給済みとする社長の主張
(以下、本文の書き起こし。原本において、“XXX” 部分は当方の氏名)
die geplanten Arbeitszeit während der Arbeitsunfähigkeit von Frau XXX betrugen 4 Tage, die wir bereits mit der Oktober-Abrechnung ausbezahlt haben.

Laut Arbeitsvertrag mit Frau XXX sind wir nicht verpflichtet, ihr eine bestimmte Mindestanzahl an Arbeitsstunden zuzuteilen, sondern der Arbeitsbedarf darf je nach Monat schwanken. Im Oktober hatten wir etwas weniger Bedarf an Aushilfe.

Außerdem mussten wir 6 Tage lang, zwischen dem 17. und 22. Oktober 2018, auf den Arbeitseinsatz von Frau XXX verzichten, da sie versäumt hat, uns rechtzeitig die gültige Arbeitserlaubnis vorzulegen. Deshalb haben wir sie in diesem Zeitraum weder in die Arbeitsplanung integriert noch mit arbeitsunfähigen Stunden eingetragen bzw. bezahlt. Somit haben wir die Zahlungspflicht für Oktober gegenüber Frau XXX komplett erfüllt.

(以下、邦訳)
XXX氏の就労不能期間中における予定勤務時間は4日間であり、10月分給与として既に支払い済みである。

XXX氏との雇用契約書により、当社は同氏に対して一定の最低労働時間を割り当てる義務がなく、各月の労働要件は変動する場合がある。10月においては補助業務の需要が低くなった。

加えて、2018年10月17日から22日までの6日間は、XXX氏から有効な労働許可証の提示がなかったため、当社は同氏の雇用を放棄しなければならなかった。このため、この期間中、当社は同氏を勤務シフトに組み入れることができず、また就労不能期間としての登録もしていない。

従って、当社はXXX氏に対する10月分の支払い義務を完全に果たしている。

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 ・・・・・・。

 
 もう、ここまで マイ・ルール = 世界の常識と信じて微塵もブレやしない、マリアナ海溝の底まで落ちようともどこまでもおめでたい性格にはあっぱれとしか言いようがない。

 すべては、既にこれまで解説してきたとおりなのだが、まともに相手にするのがアホらしくなってくるものの改めて12月11日付の回答に正当性がないことの根拠を以下に述べる。


1.ビザ(有効な労働許可)には問題がなかった。(そもそも10月16日でおしまいなんて移民局も誰も言っていない)
 根拠:この記事中に掲載した、弁護士による不当解雇撤回請求のとおり。

2.Minijobberの就労不能期間の給与計算は、予定されていた勤務シフトによって計算されるのではなく過去3ヵ月に遡った月平均に依る
 根拠:パートタイム・有期労働契約法12条
 https://www.gesetze-im-internet.de/tzbfg/__12.html


3.移民局で滞在許可申請中という事実があれば手元にその証明書(Fiktionsbescheinigung)がなくとも就労は合法である。
 まして、ましてだ。私が最初に滞在許可申請をしたのはJosef Biffarによるものだ。そんなことは移民局も知っている。そして、社長本人も、もちろん私が2017年10月に滞在許可申請済であり、その後も継続して申請中の状態であったことは知っている。あの2018年9月26日付けの移民局からの通知は本人宛であり、かつ、強制送還の通知ではなかったため、本来は社長への報告義務はなかったものである
 ゆえに、「あら、だって新しい仮滞在証を見せてくれるまでは、不法就労になってしまうかもしれない人を勤務シフトに組み込むわけにはいかなくってよ」などという言い分はちゃんちゃらおかしい。
 ドイツにも日本と同じく、法律用語の上での「信義誠実の原則」規定があるらしく、仮滞在許可証が更新できたか否かなんて、雇用主が移民局に電話すれば直ちに教えてもらえることなのに、なぜ従業員の身を守る立場の社長が自分で電話して確認しようとしないのか、弁護士にも理解不能という印象であった(信義誠実の原則の逸脱)。そもそも、繰り返すが、2018年9月26日付の通知は社長に報告する義務はなかった
 何よりも、事実上、過去に遡って5ヶ月間において、社長が新たな仮滞在証の提示を要求してきたことが一度もなかったにもかかわらず、これまでは問題なく勤務してきており、仮滞在証を提示しなかったからといって、その期間シフトから外されたりすることは一切なかった。
 さらにいえば、10月12日の不当解雇通知張り付け事件の直後に切迫早産になりかけたことで、医師によって自宅安静を指示されていた期間に、新たな仮滞在許可証を提出しに出向けと? あるいは、自宅安静なのにいそいそとスキャナー他を使いメール送付しろと? さもなくば勤務シフトに入れてやらないし病欠分の給料も差っ引くと? そんな要求を、あなたが、するの?? あれっ、この事件って誰が起こしたんだっけ、シャチョー?



 それにしても、
 【その2】で解説したとおり、本来私に支給が保証されていた額とは、221.58€ 也。

 実際に10月分として支給された額は、137.53€

 参考資料:2018年10月給与明細
2018年10月分給与明細

 

 221.58 - 137.53 = 84.05€




 ・・・・・・・・・・。



 はっ、はちじゅう・・・・

 

 たった、85ユーロ足らずで。



 たった85ユーロ足らずのために、こんな記事をネットに大公開されてしまうシャチョー。



 情けな...あっ、いかんいかん、今回は結論前のラスト記事だからか、ところどころ表現が暴走しつつある。

 

―余談―
 ではでは、仮に100歩、いや1000歩譲って、社チョーの言っている「(不当)解雇撤回はしたけど、新たな仮滞在許可が提示されなかった6日間分は給料から差っ引いてやります」という矛盾した主張が、法的には認められて通ったとしましょう。それでも10月分の給与計算は、

(参照:記事【その2】)
{27.91 × (19-6)/31}× 9.23(€)= 108.03(€)
 6.90 (h)× 9.23(€)= 63.69(€)

 ∴ 108.03 + 63.69 =
 171.72

 うん、いずれにせよ給料未払いだね、社チョー。
 そもそも金額の問題じゃないです
 経営者のくせに、貴女の法的認識は間違ってるんです給料計算方式がドイツ法に則ってないって、どんだけですか。え?いつもの如くワタシじゃなくて経理だか税理士だかが勝手にやったって?だったら経営者である貴女が是正するべきでしょう。そもそも、病欠期間の給料が、社チョー個人が予定していたという勤務シフトに合わせて自由に決められるなら、どこの会社でも貴女のようにマイ・ルールで秩序なく好きなように低くできちゃうってことになるじゃない?ドイツはそんな無法地帯じゃありません。