さて、解雇制限訴訟を経て、不当解雇が撤回された!

 これにて、一件落着!!めでたし、めでたし。


 ・・・とは、ならなかった。


 はっきり言おう。

 正直、お金なんてどうでも良いことだ。
 お金を優先させて考えるのであれば、こんなブログなんか書いてる暇があったら、オンライン講師でもやってサッサと稼げばいいのである。

 しかしながら、
 当初より散々「マイ・ルール」でしかないことを、あたかも「ドイツの常識」であるかのように押し付けられ、その骨頂が、くだんの「不当解雇通知張り付け事件」だ。

 何もかも、いいようにされ、やられっぱなしで泣き寝入り、というのでは気が収まらないし、何より、いつまでもこの件を自分のなかに無理やり押し込めて力任せに蓋をし、その蓋が開いてしまわないようにと、常にどこか身体に力が入っている状態では精神衛生上よろしくない。

 金額に関係なく、「賃金未払い」は事実であり、違法行為だ。
 だから、自分の実体験をここに公開し、以後、ドイツで就労中の日本人が私と同じ状況に陥った場合の対処法の一例として解説をすることに意義がある。
 

 遡って、2018年10月12日。

 社長自らが一方的に自宅へ押しかけ、ドイツ語で書かれた不当解雇通知にサインを迫り、それを拒否すると自宅ドアに不当解雇通知を張り付けてその写真撮影まで行い、その直後に切迫早産になりかけたというあまりに度を越えた異常な経緯(→記事【その1】と【その2】を参照されたい)もあり、もう、この会社にはいられない、というのが、私と家族の同意見であった。

 本来、この日(金曜日)は入院するよう医師に言われていた。
 家庭事情のため帰宅しなければならなかったことから、翌朝(土曜日)に要再診と言われ、再び病院へ行くと、一時的な「就労不能証明書」が発行された。
 そして、週明けになったら、可及的速やかにかかりつけの婦人科に指示を仰ぐように、との事だった。
就労不能証明書1


 補足説明をすると、ドイツの場合、妊婦定期健診をするのはいわゆる婦人科であり、小さな町で個人がやっている婦人科も多く、出産設備がない場合もある。また、そのような婦人科は土日も休診日である。
 大きな総合病院であれば、妊婦定期健診および出産の双方が可能なところもあるが、そういう病院は、それこそ出血した人や早産になりかけた人が予期せずして駆け込んできたりするため、妊婦定期健診の待ち時間が予測不可能となる場合が多い。
 私が定期健診のために通っていたのは出産設備のない小さな婦人科であったが、既に妊娠31週に入っていたため、万一、破水したり陣痛を感じたりした場合は直ちに出産設備のある病院へ行くように言われていた。

 そのため、12日に前駆陣痛のような痛みを感じて駆けつけた病院は、かかりつけ医ではなく出産設備のある総合病院だった。

 妊婦に対する「就労不能証明書」の発行は、基本的に過去一定期間の診察データを所持しているかかりつけの医師でなければ、最長2日間しか出せない決まりらしい。
 

 週末は、今後についてとことん家族会議であった。
 揺るぎない決定事項は、とにかく一刻も早く新しい仕事を見つけて、一刻も早くここを出ること。

 頭と気持ちを切り替え、16日に改めてかかりつけの婦人科を訪れた。
 総合病院で発行された診断書を医師に提出し、ここでも12日に起こった事の顛末を報告した。
 すると、かかりつけの医師は、

 「あなたは12月14日が出産予定日だから、その6週間前の11月2日からは法定産休期間に入る。3度目の帝王切開になるので、これ以上の子宮収縮は母子ともに命に関わる。もう、11月2日まで自宅で安静にしていなさい。その後は産休期間になるから、もうこれ以降、出勤する必要はありません。」

 との事で、以下、11月1日までの「就労不能証明書」を発行してもらうことになった。
就労不能証明書2


 加えて、かかりつけ医も弁護士も同じことを言っていたのは、
 
 医師が「就労不能証明書」を発行した場合、その期間中の給料は保証される
 
 という事だ。

―【その2】に続く―